2013年11月9日土曜日

私見:島根県・海士町(あまちょう)のやり方と効果

「ないものはない」離島・島根県海士町に人が集まる秘密とは? 「役場は住民総合サービス会社」という山内道雄町長の改革

写真は隣の島・島後(どうご)にある「福浦トンネル」:明治に手掘りで掘られたトンネル


こちらの記事を読みながら、「おぉ!」と気になったことがありました。

それは、2012年に海士町を訪れた視察者数。なんと年間に1,400人が、島根の離島・海士町を訪問していたらしい。


「2012年は全国の自治体などから1400人ほどの視察が来ましたが、CASシステムや島前高校を見ながら、最終的には職員の動きを見ていました。

この数字は、 木質バイオマス分野で全国的に有名な、岡山県真庭市の「バイオマスツアー」に近い数字です。バイオマスツアーは2,000人だそうです。


視察だけで2,000万円以上の効果

この1,400人をどう捉えるか。あまり好ましい効果測定ではないけど、経済効果として見てみます。
まず、視察に来た人1人あたりの費用を考えると
  • 旅費 \6,000 (概算。本土~海士町間のフェリー)
  • 宿泊費 \7,000 (概算。隠岐の場合、ほぼ日帰りはあり得ない)
  • 食事代 \4,000 (概算。1日目の昼食、夕食、2日目の昼食の計3食)

旅費は、もっとも安いフェリー往復(片道3,000円程度)で想定し、宿泊費も隠岐で平均的な7,000円程度を想定し、食事は懇親会等はないパターンで想定。

そうすると、1人あたり17,000円を隠岐関連事業者に落とすことになります。

17,000円/人×1,400人=2,380万円

となり、けっこう大きな数字です。

食事には隠岐産の食材を使われていることなどを考えれば、地域内での経済循環が起きているでしょうから、乗数効果も働くことになるのだろうと思います。

ちなみに、真庭市のバイオマスツアーは、5,000円の視察費を取っているようですが、海士町はどうなんでしょうか。


海士町のやり方への疑問

海士町はスゴいなと思いますが、それが好きかどうかというと個人的には、あまり好きではないですね。

大人もなぜか海士町に集まっている。その数、246世帯、361人(2012年度末)で、一流大学の卒業者や、一流企業でキャリアを持つ20代から40代の現役世代が続々とIターンしているのだ。
ここの話に「一流大学」や「一流企業」って必要?シンプルに「優れた人材が集まっている」でいいと思うんだけどなぁ。
こういう表現に、非常に“狙い”を感じてしまって、背中がゾクッとしてしまう。

ただ、「あまり好きじゃない」というのは、こうしてメディアに取り上げられるポイントが上手だとか、見せ方とかロジックの組み立て方が上手だったりする、ある意味で嫉妬や羨望の裏返しの部分もあるなぁと思います。


もうひとつ、高校の魅力化による学級数増もスゴい成果だと思います。

ただ、その一方で地元の子どもたちが“あぶれる”ことにならないだろうか?というところは思います。
隠岐島前高校は、海士町(中ノ島)だけじゃなく、隣の島である西ノ島町(西ノ島)や知夫村(知夫里島)などからも進学があるはずです。
それは、ある意味では競争のない世界だったかもしれませんが、近くで通えることは家計にはやさしい状況であったと思います。
しかし、島外からの「留学生」を受け入れることで、もしあぶれることになると……。

それは本末転倒ではないのだろうか。そんな風に考えます。
また、無批判に「すごい、すごい」と言うのもやはり違うと思います。

ただ、「成果」を出し続けていることは本当にすごいし、取り入れるべき考え方、姿勢は多いと思います。

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